みなさんは『牧場物語』というゲームをご存知ですか?
スーパーファミコンのソフトとして1996年にパック・イン・ビデオ(現・マーベラス)より発売されて以降、人気を博しシリーズ化もしているテレビゲームです。
わたしも第一作が発売されてから長い間、『牧場物語』シリーズのファンでした。特に、初代『牧場物語』や『牧場物語 ハーベストムーン』『牧場物語3 ハートに火をつけて』『牧場物語 しあわせの詩』などは何十回とプレイをしてきました。
しかし最近の『牧場物語』シリーズの作品は、時代の流れなのかやや雰囲気が変わってきており、少し残念に感じています。
不満に感じているのは大きく2つ。一つ目は『牧場物語』シリーズ最大の魅力の一つである「キャラクター」についてです。
上のイラストは、2014年発売の『牧場物語 つながる新天地』の恋人候補たちです。
多岐にわたるユーザーの好み・趣向を網羅しようとするあまり、デザイン全体に通底する芯が欠けているように感じます。 それぞれのキャラクターたちが、同じ町に暮らす住人同士だとはとても思えません。
ひとりひとりの世界観が、あまりにも違いすぎるというか・・・。
また、『牧場物語』がもともと持っているほのぼのとした世界観がぶれ、いわゆる「アニメ的な萌え」を半端に取り込んでしまっているように思うんですよね。
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キャラクターたちが本当に生きているようには感じられず、作られたキャラクターであることがひしひしと伝わってくるわけです。
そもそもキャラクターが暮らす村は、どういった文化を持ち、現代世界ではどういった年代で、どのあたりの地域に位置しているのか、といった世界設定の想定が不十分なのだと思います。
二つ目の不満点としては、自由度です。
スーパーファミコンの初代『牧場物語』を初めてプレイしたとき、「なんだこの自由なゲームは!」と驚いたことを憶えています。
当然、初代をいまプレイしてみればいくつも不便な点は見つけられます。でも、そこには「やらされているのではなく、自分でやれることを探していく」という楽しみがたしかに存在していたのです。
近年の『牧場物語』作品は、要素を増やそうとするあまりプレイヤーに作業を強いることが増えているような気がします。当然、完全な自由度の中に放り出されてしまってもプレイヤーは戸惑ってしまうことが多いので、ある程度の道筋を示すことは重要だと思います。ところが、現状ではあまりに作業感だけが増してしまっているんですよね。
そういった理由からわたしは最近の『牧場物語』シリーズにはなかなか手を出しづらくなっているところなのです。
が、そんなとき、あるゲームを見つけました。
その名も『Stardew Valley(スターデューバレー)』
何よりもわたしの目を引いたのは、このゲームの作者が『牧場物語』の大ファンで、たったひとりで5年間かけてこのゲームを制作した、という情報でした。
発売から2か月足らずで100万本を売り上げたほどの人気ゲームだということも知りました。
このプレイ画像、『牧場物語』ファンの方であれば「似てるっ!」と思われるのではないでしょうか。 お察しの通り、基本的なゲーム内容は全く同じと言っても過言ではありません。
- 畑を耕し、家畜を育て、できた作物や製品を出荷し、お金を稼ぐ。
- 稼いだお金で牧場を拡張していく。
- 住民たちと交友を深め、町の問題を解決していく。
- 恋人候補と交友を深め、結婚する。
主なゲームの流れは以上の通り。あちらこちらから作者の『牧場物語』への愛が伝わってきます。
それではここから『Stardew Valley』をプレイするべき4つの理由を述べていきたいと思います。
1.初代『牧場物語』に決して負けないほのぼの感
上の画像からもお分かりになるかと思いますが、2Dドット作品ならではのほのぼの感がこの作品全体を包んでいます。
それでいて初代『牧場物語』に比べて圧倒的なボリュームです。初代の雰囲気でプレイしたいけど、いまからやるにはちょっと古い、というジレンマを解消してくれているのです。
舞台になる町は自然に囲まれた田舎です。日本が舞台ではありませんが、そこは本家『牧場物語』と同じく、どこか共感できるノスタルジーが作品のあちこちに散りばめられています。BGMも郷愁をかきたてるものばかりで大変すばらしいです。
2.人間味のあるキャラクターたち
(画像のセリフは英語ですが2017年4月に日本語を含む多言語化も行われているため、日本語でのプレイができます)
登場するキャラクターそれぞれにきちんとした背景が用意されています。
彼や彼女たちにはそれぞれ抱えている悩みがあります。しかしそれらはとってつけたようなものではなく、この現代社会で生きる人ならば誰もが直面する悩みばかりなのです。
田舎に嫌気が差しているヘイリー、芸術家としてこの町にIターンしてきたものの今後に悩むリア、スーパーの従業員としてうだつのあがらない自分に悩むシェーン。
きっと共感できるキャラクターがいるはずです。
そもそも主人公の設定が、「大企業で働いているものの、心身を病みかけている」というところから始まります。そんなあるときに祖父が残してくれた手紙を思い出し、それを頼りにかつて祖父が暮らしていた牧場のある「Stardew Valley」に向かうというのが物語のオープニングです。
この始まりだけでも胸に刺さるものがある人も多いのではないでしょうか。
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3.奥行きのある世界・自由度の高いゲーム内容
作品内でできることは数多くあり、単純に金策を挙げるだけでも、牧場の耕作、家畜の飼育、釣り、鉱山での採掘、野山での採集、町の住人から受ける依頼をこなす、など多岐にわたります。
また、『牧場物語』シリーズの派生シリーズ『ルーンファクトリー』のように、モンスターや戦うための武器なども登場します。『牧場物語』シリーズでできることでこのゲームにできないことはほとんどないでしょう。
また、『牧場物語』シリーズと同様、作品内では結婚をすることができ、子どもを授かることもできます。
しかしさすが現代の(かつ先進国の)ゲームならではの点として、結婚をするパートナーは異性でなくても良い、という特徴があります。
すなわち男性6名、女性6名のパートナー候補計12名のキャラクターから選ぶことが可能なのです。(同性選択時の場合、子どもは養子ということになります)
4.PCゲームだからこその拡張性
このゲームはSteamというプラットフォームサイトでのDL販売となっています。そのためPCでプレイすることになるのですが、ゆえに、様々なmodが存在しています。
ゲーム内の細かな不便な部分を改善してくれるmodなども多くあり、どうしても作業感が拭えない部分はmodで解消するという方法があります。ただ、それらはどうしてもゲームバランスを崩しがちになってしまう部分もありますので、あまりあれもこれもと導入することはおすすめしません。
そのかわりにおすすめしたいのが、キャラクターのビジュアルを変更するmodです。
『Stardew Valley』のキャラクターたちはやや古臭いデザインなところがあり、人によっては好みからは外れてしまう場合があります。
そんなときは大量に存在しているビジュアル変更modから好みのものを選び、導入することで、ゲーム全体のイラストが差し替わります。
おすすめはEinari’s Portraits。
ほどよくかっこよく、かわいくなります。男性キャラがかっこよすぎるのが嫌であれば、女性キャラだけ変更する、といったことももちろん可能です。
ちなみに筆者一押しは右下のペニー。かわいいです。
以上、『Stardew Valley』の魅力について語ってきましたが、本当はこのようなゲームが日本のメーカーから発売されることを願いたいところです。
『牧場物語』の1外国ファンが、たったひとりでこれほどまでに面白いゲームを生み出せるのは、いまの時代性を映し出しているといえます。しかし、本家『牧場物語』にはこういった作品に負けない新作をぜひとも作って欲しいですね。
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この『Stardew Valley』ですが、海外向けにNintendo Switch版が10月5日にリリースされました。(PS4版、XBOX ONE版はすでに北米版が発売済み)
日本での展開については,今後の情報に期待といったところでしょうか。ちなみにSwitch版は発売から1日で世界中のeShopでベストセラーゲームにランクイン、各国でランキング1位を獲得しています。
現在プレイをしたい場合はSteamで 1,480円で購入することができます。Windows、Macどちらでもプレイ可能です。セール期間中などは格安で購入することができるので、ぜひチェックをしてみてください。