三連休が終わりましたが、みなさま、休み明けのお仕事は順調でしょうか。
私事ではございますが、この三連休、旅行に出かけていました。東京から新幹線で3時間もかけて、旅行に行っておりました。
目的地は北陸。具体的には富山県の旅。
ものすごい雪でした。
ずっとこの旅行の日を楽しみにしていたんですよ。ここのところ日常に刺激がなかったので、思い切って遠くに出かけてみよう、そう思って、富山県に行きました。
結論から言うと、富山県は素晴らしいところでした。
とにかく魚がめちゃくちゃ美味しかったですね。回転寿司でさえ美味かったし、地元の飲み屋さんでもめちゃくちゃ美味い魚がガンガン出てくるんですよ。美味いものを食べたい人は富山に行きましょう。
レンタカーを借りて、隣の岐阜県にも行きました。お目当ては世界遺産の白川郷。いつか行ってみたいと思っていた白川郷ですが、ここではいろいろな発見がありました。
実は白川郷って高度に観光地化されていて、ものすごく観光客が多いんです。みやげ物屋さんが立ち並び、たくさんの外国語が飛び交う、まさに京都みたいな雰囲気なのです。
合掌造りの民家は、民宿や商店に改造?されていて、ずいぶん商魂たくましいなあなんて思ったり。
山あいのひっそりとした集落に、でかい観光バス、海外の団体ツアー客など、世俗的な空気が漂っているのは意外でした。
なんというか、白川郷には思ったより秘境感が無かったですね。静謐な感じはあまりしなかったので、逆になんかそれが面白かった。
あと聖地巡礼もしました。ぼくはアニメが大好き。富山県はけっこうアニメの舞台になっているので、非常に良かった。
ああ、また富山に行きたいな。おわり・・・・・・
終わりません。
そうじゃないんです。今回の記事で言いたいのはそういうことじゃないんですよ。そんな人生でいいのか? と思うわけです。
わかりますか?
何が申し上げたいかと言うと『数ヶ月に一度やってくる連休に、旅行に出かけることだけを楽しみに生きる人生』で良いのか? っていうことなんですよ。
「せっかくの三連休だから、旅行に行くか」
それってどうなんだろう。今日は、そんなことを考えていました。
三連休の旅行を楽しみに生きる人生
いや、正直なことを言うと、三連休の旅行はすごく楽しかったんですよ。普段とは違う景色、普段とは違う食事、普段とは違うベッドにお風呂。
しかも仲のいい友人と一緒に行くわけですよ。これで楽しくないわけがないじゃないですか。
毎日わけわからん労働で消耗しているぼくを癒やすには、三連休の旅行というアクティビティはあまりにも強過ぎるわけです。だって、普段のぼく、土日は寝て過ごしたり、ぼーっと近所を散歩したりしてそれで土日が終わるわけですよ。ゾンビかよ。
いつもならお昼にNHKの『のど自慢大会』を観て、その後ユニクロに行って、わけわからん服買ったりしているんです。
そんなぼくが北陸旅行だよ? 北陸。しかも富山だよ? 富山。きときとだよ?
そりゃあ楽しいに決まってるよ。すげえ楽しかったよ。
三連休は正義か悪か
だって、北陸新幹線(かがやき)で東京と富山を往復するだけでも、ざっと2万5千円くらいですぜ。2万5千円つったら、ノンアイロンのワイシャツが8着くらいは買えるわけですよ。えげつない話ですよ。
富山に行くためには、サラリーマンの標準装備を一気に8着買うくらいの資金力がいるということですよ。
ドラクエ5で例えるなら、ドラゴンメイルとかミラーアーマーを一気に8着分くらい買うっていうことですよ。これはとんでもない贅沢ですよ。そんな一気にドラゴンメイル買わないでしょう。どんだけゴールデンゴーレム狩ればいいんですか。
しかも富山のブリだよ? 寒ブリ。めちゃくちゃ美味いわけです。口のなかで溶けるんです。本当に。普段東京で食べてる魚はなんだったんだ、ってなるじゃないですか。
三連休の旅行っていうのはそれくらい素晴らしいものだし、一大イベントなわけですよ。少なくともぼくにとっての富山旅行は、ドラゴンメイルを8着くらい一気に買うくらいの思い切ったイベントであったわけです。
だって、せっかくの三連休だったから。
でも、三連休に甘んじているだけで良いのだろうか。良くないよね。ぼくはそう思った。
旅行が終わればいつもの日常が待っている
結局、旅行から帰ってくれば、またいつもの日常が待っているわけです。だから、旅行の後半は、徐々に仕事のことが気になってくるんです。
これは苦しいですよ・・・。だって、富山県にいるはずなのに、頭の片隅には東京のオフィスがぼやっと浮かんでくる。もっと言えば書類が山積みになった自分のデスクが浮かんでくる。さらにもっと言えば、眉間にしわを寄せた上司の顔が浮かんでくる。
「あーあ、この旅行が終われば、また労働の日々。つぎの連休はいつだったかな?」
富山旅行という素敵なアクティビティを楽しんでいたはずなのに、真綿で首をしめられているような気になってきます。なんなら降り積もった雪も真綿に見えてくる。
いい加減にしろ。ぼくはそんな苦しみを味わうために、富山に来たわけじゃない。つまらない日常から解放されるために、富山に来たんだ。
それなのに。
旅行も終わりに近づいた頃、顔を上げれば浮かんでくるのは澄み渡った北陸の青い空。ぼくの心も青息吐息。
暗い気持ちで、帰りの新幹線に乗りましたよ。帰りの便は、行きの便と違って、どこか後ろめたい空気が新幹線の車両に充満していたような気がする。
窓から眺めたビル街
みなさんはご存知だろうか。北陸新幹線に乗って、富山から東京に帰ってくる途中『ああ、いよいよ明日から仕事だなあ』と思うスポットがある。
それは「大宮」のあたりである。
急に窓から眺める夜景に、汚いチェーン店の看板が現れ始めるのである。これが強烈なボディブローとなって労働者に襲いかかるわけだ。
思えば、富山市には汚いチェーン店の看板はなかった。
見よ、これが富山の街並みだ。洗練された街並み。まるでイギリスのロンドン橋を彷彿とさせるではないか。
大宮あたりから、ごちゃついた原色の看板やビル街が姿を現す。そして、労働に対する恐怖はピークに達する。
「ああ、東京に帰ってきてしまったんだな」
恐ろしい何かが渦巻く街。トーキヨ。
せっかく
せっかくって何だろう。
せっかくの三連休だから、せっかくの長いお休みだから、せっかくの振替休日だから、せっかくの祝日だから・・・。
でも、それじゃあ、だめなんだ。それだと結局いつもどおりなんだ。
「せっかく」という副詞は、何気ない行動を大仰にしてしまう。別にせっかくじゃなくてもいいんだよ。
「せっかくの三連休だから早起きして2泊3日で富山県に行こう」ではなくて「いつもと変わらない土日だけど早起きして1泊2日で富山県に行こう」という考え方ができれば素敵だろうな。
たまにやってくる三連休に限らず、いつもの土日だからこそ旅行に行くべきだと思う。いつもの土日だからこそいつもとは違うことをするべきだし、新しい趣味を見つけたりできれば生産的だ。
せっかくの休みだから旅行する、ではなくて、休みがあるから旅行に行く。
せっかくの休みだからドラゴンメイルを買うんじゃないんだ。ドラゴンになった気持ちで繰り返す日常を過ごすんだよ。
「せっかくの三連休だから」はもうやめだ
土曜日と日曜日はあわせて48時間。
疲れて寝ていても48時間。旅行に行っていても48時間。ジムで体を鍛えていても48時間。資格の勉強をしていても48時間。合コンに行っていても48時間。デートに行っていても48時間。家族と過ごしても48時間。スキーに行っても48時間。
三連休を特別扱いするんじゃなくて、毎日を大切に生きようと思った。今回の旅でそう思った。
人生の時間って、本当に短い。最近そう思う。学生時代は時間がたくさんあった。でも最近は一週間があっという間に過ぎていく。日々に忙殺されていたずらに過ごしていると、いつか近い将来ぼくは激しく後悔すると思う。
今日も狭いワンルームに帰ると、先週から脱ぎ捨てられたままのワイシャツと靴下がぼくを出迎えてくれた。せっかくの火曜日だから掃除した。
永遠なのか本当か時の流れは続くのか
いつまで経っても変わらないそんな物あるだろうか
見てきた物や聞いた事いままで覚えた全部でたらめだったら面白い
そんな気持ち分かるでしょう
『情熱の薔薇』THE BLUE HEARTS